【58点】中小企業診断士 二次試験再現答案(令和2年度・事例Ⅲ)

2021年8月1日

この記事に記載していること

令和2年度の中小企業診断士試験に合格してから、はやくも数か月が経過しました。
ようやく得点開示請求への回答が中小企業診断士協会からありましたので、この得点結果とともに皆さんに再現答案をお示しするとともに、試験当日の回答作成にあたっての私の頭の中の状態を交えながら公開させていただきます。

なお、事例Ⅰの再現答案はこちらをご参照ください。
事例Ⅱの再現答案はこちらをご参照ください。

この投稿では、令和2年度の中小企業診断士試験・事例Ⅲ(生産・技術)に関して記載をしています。
なお、問題文については、中小企業診断協会のサイトをご参照ください。
(令和2年度二次試験・事例Ⅲ問題文)

前提として…私のバックグラウンド

本題に入る前に、前提として、私の受験歴や試験当日までの経験値などについて、簡単に触れておきます。

私は大学を出てから、社会人として20年以上働いてきましたが、主に社内取扱いの作成や営業、現場管理などをやってきました。中小企業診断士試験との関係でいえば、少なくとも二次試験についてはどこにも有利になる知識バックグラウンドの要素はありません。文章を書くのは苦にならない、ということくらいでしょうか。

実際、二次試験は合格するまでに3回も受験しました。
そんな有利になる知識のない私でも、試験当日に書くことができた内容ですので、多くの方の参考になるのではないかと思います。

このあと随所に出てきますが、ポイントは自分のセンスや考えを答えるのではなく、「問われていることは何なのか?」を考えて回答に表現することだと思っています。これに徹してから、一発で二次試験に合格できました。(素晴らしい得点ではありませんが・・)

与件文を読んで考えたこと

まず、与件文を読んで考えたことですが・・
金属製品や建材だから、少しはイメージしやすいなぁ。工場の中の生産だけの話ではなさそうなので、自分には取り組みやすいかも。
下請け仕事になっているうちは、下流工程でしわ寄せがくるから、利益面でも納期面でも難しいよね。
これを変えていくようにしないと。

・・・とはいえ、そんな話を頭の隅に置いといて、試験に受かることに徹しないと。
事例Ⅲ、苦手なんだよな-。

第1問(配点20点)

<試験当日の頭の中>
強みと弱み? 事例Ⅲっぽくないよね。事例Ⅱのような感じ。
字数も少ないし、シンプルにいこう。深く考えすぎないこと。
その割には配点が結構あるのよね。

<再現答案内容>
強み: 設計から制作・据付まで一貫対応できること、溶接・研磨の高い技術力。
弱み: 生産計画精度が低く納期遅れが生じている、標準化が進まず班ごとに技術差があること。

<書いてから思ったこと>
こんなにシンプルでいいのかな。何か気づいていないことある?
まぁ、いっか。気にせず進もう。

第2問(配点40点)

<試験当日の頭の中>
おー、配点40点。ここは慎重に。
設問が分かれていることの意味だよ。
営業の問題点と対応策、製造の問題点と対応策。4つのことを書けと。それぞれ10点なんだろうね。
関連性を書くべきかどうか。

設問1(営業の問題点と対応策)

<再現答案内容>
問題点は、承認段階でのやりとりや変更が多く承認図の完成までに時間がかかること。これにより製作期間を確保できなくなること。
対応策は、3DCADを導入して設計段階で完成形のイメージを共有すること。図面が承認された段階で確定納期を契約すること。

<書いてから思ったこと>
制作期間が取れなくなることは、製造側の問題か?
「2次元CAD」って与件文にもわざとらしく書いてあるから、きっと3D-CADは当たっていると思うけど。

図面が承認されるまで確定納期を出さないって、実際はできるのかね?
まぁ、いっか。

設問2(製造の問題点と対応策)

<再現答案内容>
問題点はスペース不足で歩行・モノの移動が発生している、班ごとに技術力に差異があり生産計画上のボトルネックになっていること。
対応策は、5Sを徹底して移動を最小化すること、生産工程の標準化・マニュアル化を行って標準化すること。

<書いてから思ったこと>
毎回思うんだけど、「5Sの徹底」って、そんな抽象的なこと言われても何やればよいか分からないよね。こんなアドバイスしても仕方ないと思うんだけど。その中身を実際にどうやってやれば良いかこそが、求められているのだろうけど。
まぁ、いいか。

第3問(配点20点)

<試験当日の頭の中>
IT化とか言ってるけど、それ以前の問題だと思うよ。
そもそも、受注時に確定納期が分からないっておかしくないか?
だいたい、納期もふわっとしているのなら、発注する側も怖いよ。
結局、何にどれだけかかるか分かってないからでしょ。
問題には関係ないけど、そんなことやってたら見積もりの精度悪くて、利益も取れてないんだろうな。

IT化も大事なんだろうけど、そこの本質を言ってやらないと気が済まない。

<再現答案内容>
製作の標準工程を定め、各作業工程の標準工数を定めること。これにより見積もり段階で精度の高い納期を示すことができる。これらの情報を受注システムで管理して、作業納期の迫っている案件から優先して割当てるように管理をしていく。

<書いてから思ったこと>
あー、またやってしまった感。
問題に対して素直に答えるのではなく、自分の意見を盛り込んでしまう。これで今まで散々な思いをしてきたのに。
IT化から離れてしまった。
でも今から書き換える時間もなし。まぁいっか。

第4問(配点20点)

<試験当日の頭の中>
そうそう、モニュメント事業こそ脱下請けのカギになるものだと思うよ。さすが社長。
「充実」と「拡大」ねぇ。「充実」は「より高いレベルの製品を作れること」、「拡大」は「より多くうけられる体制づくり」みたいに読み替えてみたら良いのかしら。

<再現答案内容>
製造と営業の人事交流、多能工化による技術力の水平化、CADの活用により営業段階でデザイナーの個別要求に応えられる体制を充実していくこと。生産計画の精緻化、これに基づく進捗管理により無駄を排して生産性を向上させて体制を拡大させること。

<書いてから思ったこと>
もっと具体的に書かないと、正直言って伝わらないんだよね。
「多能工化」といったって、どうやって進めるのさっていう話。本当は研磨工程ができる人材を増やすために、スキルマップや教育制度、目標管理をしていくことが必要だとか、そういうことを言いたい。でも、とても字数が足りない。
何か、キーワード並べるだけの答案はいやだ。消化不良で自己嫌悪。。

振り返り

結果して58点ということで、何とか守りの答案にはなったと思います。
事例Ⅱもそうなのですが、事例Ⅲもどうしても具体策のアイデアが湧いてきてしまい、正面からお題に応えていない答案になりがち。今回もそれに気づいていたので、直後は不安が大きかったです。試験中にそれに気づけていたことは、大きな進歩だと思っていますが。

これから受験するみなさんも、「試験は自分の意見を表明する場ではない」ということを伝えたいです。
昔、司法試験に受かった友人が試験のコツについて、「簡単だよ、聞かれていることに答えればいいんだよ」と言っていました。当時は「なんと自分の意思のない奴」と思っていましたが、今になってようやくその意味が分かってきた気がします。(チョー遅いですが)
私自身は、頭で分かりつつも抵抗した答案を書いてきましたが、やはりそれでは得点が伸びません。みなさん、試験は試験と割り切って、受かってから存分に自分の意見を出していきましょう。