【実践済み】中小企業診断士に独学で合格する方法~40代から始めたサラリーマンが独学合格するまで~

2021年8月1日

(写真:ぱくたそ)

この投稿では、中小企業診断士の試験に独学で合格するための方法の概要を解説していきます。
今後、それぞれの科目ごとの細かな対応方法については、個別に解説をしていきます。

中小企業診断士とは

中小企業診断士とは、中小診断士協会のWEBサイトによれば、「中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家で」「法律上の国家資格として」「中小企業者が経営資源を確保するための業務に従事する者(公的支援事業に限らず、民間で活躍する経営コンサルタント)」とされています。
つまり、中小企業に対する経営コンサルティング業務を行うための国家資格です。

資格制度の概要については、ここでは詳述しませんが、下記の中小企業診断士協会のサイトをご覧ください。
中小企業診断士協会のWEBサイト

しかし、弁護士や司法書士、公認会計士、税理士といった資格と大きく異なる点は、中小企業診断士でなければ法的に従事できない業務というものがない、という点です。
そのため、中小企業診断士として独立してコンサルティング業務を提供する方もいる一方で、多くの方が会社に勤めながら「企業内診断士」として社内でのキャリアアップに活用されています。

試験は一次試験と二次試験があります。
一次試験はマークシート方式で、①経済学・経済政策、②財務・会計、③企業経営理論、④運営管理、⑤経営法務、⑥経営情報システム、⑦中小企業経営・政策の7科目があります。
二次試験は記述式と口述試験。記述式は与件ケースにもとづいて設問に答える方式で、①組織・人事、②マーケティング・流通、③生産・技術、④財務・会計の4科目です。記述式に合格すると受けることができる口述試験は、記述式試験のケースを題材にした面接形式の試験です。

私の中小企業診断士受験経歴(独学の軌跡)

2021年1月、私は5年間かけて、ようやく中小企業診断士試験に最終合格しました。

幸いなことに、私は受験期間中、まったく予備校というものに通わず、模擬試験も一切受けずにここまでたどり着くことができました。

私の場合は、一次試験の合格までに3年もかかりました。
最初の年は、通勤の電車の中で過去問を解いただけで臨みましたが、②財務・会計、③企業経営理論、⑤経営法務の3科目だけ科目合格しました。
翌年は、少しやり方を変えて臨みましたが、④運営管理、⑥経営情報システムに科目合格したのみ。
3年目にようやく①経済学・経済政策、⑦中小企業経営・政策に合格して、一次試験に合格しました。

そしてその年、二次試験の記述試験に臨みましたが、残念ながら不合格。
そして翌年、再び記述試験に臨みましたが、再び不合格となりました。
この間の記述試験の勉強法は、専ら過去問と解答例を読み込む勉強だけをしていました。

そして5年目、一次試験から受けなおし。
幸いなことに一次試験に合格し、二次試験の記述試験もそのまま合格することができました。
おそらく、5年目が一番勉強時間は取れていなかったと思います。

中小企業診断士試験に受かるコツ

受験勉強をするなかで、失敗を積み重ねながら自分なりに「試験に受かるコツ」をつかんできました。
それぞれの方が、これまでにどういった知識・経験をお持ちかによって異なってくるかもしれませんが、私の場合に実感した「コツ」を以下に記載していきたいと思います。

一次試験に受かるコツ

一次試験に受かるコツは、結論から言えば過去問を回すことです。

ここで、様々な資格試験言われる「過去問を回す」について、私のやり方を具体的に説明をしていきます。
前提として、過去問集は年度別ではなく、出題分野別にまとめられているものを選択します。
色々と比較してみましたが、私が最終的に使ったのは同友館のものです。
同友館の過去問

そのうえで、まず過去問を1問解きます。この際、単純に「正解に辿り着けたか」ではなく、「すべての選択肢について確実な理解ができたかどうか」を基準にして、〇×をつけて識別します。分かっているけれども不安な問題には△をつけておきます。
×がついた問題については、各選択肢の解説を読んで正確に理解をします。解説を読んだだけでは理解ができないケースもあると思います。その場合にだけ、インターネットで調べて知識の補充をして、問題集の解説部分に調べたことを書き込んでおきます。

これを1冊についてすべて実施したところで、すぐに2回し目に入ります。
2回し目は、1回し目で△×がついた問題だけを解きます。解き方の要領は1回目と同じです。
これをすべての△×がなくなるまで実施します。

基本的には、ほとんどはこの勉強の仕方でカバーできます。

しかし、このやり方だけでは太刀打ちできない部分があります。
それは、中小企業経営・政策における「中小企業経営」の分野です。

ここは過去問があまり役に立ちません。
必要となるのは受験年の1年前に出ている「中小企業白書」です。
私の場合は、2年目の試験を受けた後にこれに気づき、3年目からはこの分野だけは過去問を解かずに「中小企業白書」のなかからポイントになる点を要約したノートを作成して、それを直前期に覚える対策を実施しました。

これ以外にも、各科目で様々な対策を取りましたが、これは各科目の詳述記事で記載をします。

二次試験に受かるコツ

二次試験では、記述式試験がメインですので、これについて記載をします。

一言でいうと、二次試験に受かるコツは「問われていること答えること」です。

私の場合、最初の2回の試験では、過去問の問題文と合格者の再現答案を読み込むという対策を実施しました。
答案を作る訓練もしませんでしたし、本番でも思いついたことを書くという感じでした。
おすすめは、「ふぞろいな合格答案」です。
1回目の試験において、「財務・会計の点がもう少し良ければ合格したのではないか」という感触をもったため、2回目の試験では「財務・会計」の問題集を解いて、知識面で大きな漏れがないように心がけました。
しかし、2回連続して不合格になったのです。

そこで「どうすれば合格するのか」を分析した結果、気づいたことは、当たり前ですが「問われていることに答える」ことの大切さでした。
そもそも、試験というものは、合格と不合格を分ける基準があります。記述式の場合はわかりにくいのですが、それでも出題者側が尋ねたいこと、答えてほしいことがあります。さらに、中小企業診断士試験の場合、司法試験などと違って文章の回答の文字数が極めて少なく、自由度がほとんどありません。そのため、ストレートに問われていることに答えないと点になりにくいのではないかと気づいたのです。
この点は、アイデア出しなどとは異なるので、実務でアドバイスするようなイメージとは全く分けて考えないとだめだと思います。

ここでポイントになるのが、「問われていること」が何か、ということです。

これは与件分と問題文を注意深く分析していくと見えてきます。
問題文で「理由を答えよ」といえば、理由を与件分から探して答える。そこにオリジナリティは不要で、与件分から抜き出すことが必須です。問題から逆算して与件文ができている可能性が高いと思います。
「オンライン上での施策を答えよ」といえば、「リアルの施策も色々と考えられるけれど、それは聞いてないから書かないでね」というメッセージです。
「グループの人事施策のアドバイスをせよ」といえば、「その会社だけのことを聞いているわけではないよ。グループ全体との関係で考えてね」というメッセージです。

こういったことを考えられるようになったら、その年に記述試験に合格できました。

実際に実務で中小企業の顧客にアドバイスするに際しても、その会社がやりたいことから逸れてしまっては、たとえ正しいことであっても相手のニーズに応えていないということになります。相手に対してアドバイスするには、その相手の求めていることをしっかり理解して咀嚼することが大事だということなのだと思います。

以上が私の考えている中小企業診断士試験に独学で合格するコツの概要です。
次回以降、より詳細に各科目ごとのコツを記載していきたいと思います。