【急拡大の理由】AI契約管理システム「リーガルフォースキャビネ」のメリット3つとデメリット

2022年9月19日

最近、クライアント先で「リーガルフォースキャビネ(LegalForceキャビネ)」を「利用している」もしくは「検討している」という会社にたくさん出会います。

また、直近でこのブログの問合せでも「リーガルフォースキャビネについて詳しく知りたい」というお問い合わせがありました。

そこで今回は、そんな急拡大している「リーガルフォースキャビネ」について、実際のユーザーからヒアリングした内容をもとに、その機能や使い勝手、メリットやデメリットについてご報告します。

なお、ヒアリングした時期は2022年8月です。
その後のサービス内容が変わっている場合もありますので、ご利用検討にあたっては必ずLegalForce社に直接確認してください。

リーガルフォースキャビネとは?

「リーガルフォースキャビネ」とは、株式会社LegalForceが提供する契約書管理システムです。
テレビCMなどもやっているのでご存じの方も多いと思います。

「契約を管理するシステム」や「文書管理システム」というのは、以前から世の中にあるのですが、最近、「リーガルフォースキャビネ」を利用する企業が急激に増加していて、導入企業は500社を突破しています。
(※2022年8月現在、LegalForce社のHPより)

なぜ、こんなにもユーザーを急拡大させているのでしょうか。

調べてみると、そこには”納得の理由”があると感じました。

契約管理の肝-期日管理

ここで、少しだけ「契約管理」について考えてみます。

締結後の契約は、「どこの相手先と」「いつ」「何の契約を」「いつまで」といった内容の管理をしていくことが必要です。
これは締結後のトラブルに備えるためという側面もありますが、一般的に一番の必要性は「期日の管理」ではないでしょうか。

たとえばあるサービスの利用を1年間の期間で契約したとします。

その場合、自動更新の条項があれば、とくにアクションを起こさない限りは契約が継続されていきます。
多くの契約書では、自動更新を止めるには契約終了の一定期間前に通知をする必要がある、という規定があるでしょう。

意図しない契約の継続を適切に止める管理をしければ、無駄に費用を払い続けることになります

逆に、自動更新がない契約の場合でも、契約の継続を望むのならば更新契約の締結をする必要があり、契約終了日の一定期間前には更新の手続きを進めていく必要があるでしょう。

適切な更新手続きをしなければ、意図しない無契約状態が発生してしまいます。

こういった契約書の期日管理をするためには、自動更新がある契約であれば更新拒絶の期日を管理する必要があります。
自動更新がない契約書であれば、契約終了日を管理する必要があります。
これらの日の前に余裕をもって、アクションを起こしていく必要があるわけです。

「リーガルフォースキャビネ」のメリット3つ

①最大のメリット-AIによる契約管理台帳の自動登録

「リーガルフォースキャビネ」が注目されている最大の理由は、AIによる契約管理台帳の自動登録機能です。

この機能は、契約書のPDFファイルをアップロードするだけで、契約書管理に必要な管理項目情報が自動的に登録される、という非常に便利な機能です。

自動的に登録されるのは、以下の項目です。

自動登録の対象となる項目

・契約書のタイトル
・当時者名(契約締結先)
・契約締結日
・契約開始日
・契約終了日
・自動更新の有無
・契約更新拒絶の期日
・契約更新となる場合の期間

契約書をアップロードすると、数分のうちにこれらの項目が自動的に登録されます。

自動登録の精度を心配される方も多いと思いますが、表や図が入っている契約書でなければ、かなりの高い精度で自動登録されます。

しかも、事後にオペレータが確認・補正してくれるサービスが標準でついています

そのため、万一、自動登録された台帳情報の精度が十分でなくても、しばらくすると正しい情報に更新されていることになります。
これは非常に嬉しいサービスです。

私の知っているある財閥系の企業では、契約書の管理台帳の入力と期日管理のために、専属の職員を置いて対応されています。

・今後、働き手がさらに不足していくことが確実な状況のなかで、本当はもっと別の仕事をやってもらいたい。
・定型的な仕事だけをお願いしていると、スキルアップができない環境になって職員の離職に繋がりやすい。

そんな課題を抱えている会社は、非常に多いと思います。

「リーガルフォースキャビネ」ならば、定型作業の負荷を大きく減らして、今まで以上に付加価値の高い仕事の割合を増やせる。
この点が「リーガルフォースキャビネ」が評価されて急拡大している最大の理由だと思います。

②契約書向けのOCR処理が実現する全文検索

「リーガルフォースキャビネ」では、上に記載した①の処理の前提として、画像データにOCR処理をかけて契約書文言をテキストデータ化しています。

このOCRエンジンは契約書向けにできているようなので、図や表形式の契約でない限りは、契約書特有の専門用語などもかなり正確に変換されてきます。

そして、このテキストが検索できるようになっているため、たとえば「補償」という文字で検索すると、その文字を契約文言内に含む契約書が特定できます。

また、特定の文字が含まれていない契約書も検索できるので、たとえば反社条項が含まれていない契約書を特定する、というような便利な使い方も可能でしょう。

③契約管理の肝-期日通知のアラートメール機能

「締結後の契約管理の肝は期日管理」と書きましたが、これを支援してくれるのがアラートメール機能です。

自動更新がある契約書であれば、更新拒絶期日の月初および前月月初のタイミングで、自動更新がない契約書であれば、契約終了日の月初および前月月初のタイミングで、それぞれアラートメールが送られます。

この機能があれば、しっかりとした契約管理の助けになります。

上に記載した①の情報を自動的にかなり正確に登録できるからこそ、このアラートメール機能も実現できるわけです。

「リーガルフォースキャビネ」の注意すべきポイント

記載したように、こんなにメリットの多い「リーガルフォースキャビネ」ですので、私としてはおススメです。

ただ、いくつか注意しておきべきポイントもあります。
もし、あなたの会社がこれらの点が気になる会社なのであれば、事前によく理解しておくべきだと思います。

①契約管理台帳の項目を増やせない

会社によっては、一般的な契約管理のみでなく「他に様々な項目で管理をしたい」というニーズが考えられます。

よくあるのは、下記のような管理項目でしょうか。

・現場や施設の名称
・プロジェクト番号や稟議番号
・有効/失効の区分
・失効日
・自社側の決裁権限者・締結者
・収入印紙の有無・金額

「リーガルフォースキャビネ」の場合、管理項目を増やすことができないので、これらの項目を管理しようとすると「メモ」欄を利用して記載することになります。
当然、AIによる自動登録の対象にもなりませんし、オペレータに登録を個別に依頼することもできません。

②オペレータ補正までの時間がかかる

AIによる自動登録では正確に登録できなかった場合、オペレータによる補正を待つことになります。

オペレータによる補正までに要する時間は、概ね2週間程度と案内されているケースが多いようです。

繁忙度合いによっても変わってくるのだと思いますが、登録してすぐに正確なデータにしたい場合は注意が必要です。

とくに最初に導入するタイミングでは、過去に紙で締結した契約書を大量に登録することになりますが、その場合には「数ヶ月はかかる」ということなので、事前によく理解して利用を検討してください。

③契約管理項目の一覧性

「リーガルフォースキャビネ」では、エクセルのように契約管理項目を一覧にして見ることができません。

データをエクスポートすればエクセルで見られるのですが、システム画面の作り上、検索画面ではタイトルや締結先などの項目が並んでいる状態です。

あまり操作性への影響はないと思いますが、普段からエクセルで管理されている方にとっては、少しだけ頭に入れておくとよいでしょう。

④価格が高め

これだけ高機能なサービスですので、類似サービスと比べて価格も高めという印象です。

ヒアリングした会社のケースですと、以下のような感じになっているようです。

導入時には、システム初期費用として20万円、別途に初期取込契約書のオペレータ補正が1件数百円。
過去契約書のスキャニングの費用は別途です。

毎月の利用料金は、ミニマムで月額10万円程度が定価です。
年間の契約書の登録件数によって、月額プランが変わってくるというスタイルになっています。
アクセス時のIPアドレス制限をすると、さらに月額3万円がかかるようです。

実際にはこれらに値引がかかってくるのですが、このあたりは個々に条件が違うと思いますのでここで記載はいたしません。
個別にお見積りをお願いすると良いと思います。

いずれにしても、高機能高価格というポジショニングを採っている印象です。

まとめ

・リーガルフォースキャビネは、契約管理システムとして急拡大をしている。

・その一番の要因は、AI自動台帳作成機能が評価されていること。
 自動登録の精度は高めで、基本サービスのなかにオペレータ補正も含まれている。

・それ以外にも、OCRによる全文検索、期日通知のアラートメール機能などのメリットがある。

・反対に、管理台帳の項目が増やせない、オペレータ補正に時間がかかる、管理項目の一覧性が弱い、価格が高めという点には注意する必要がある。

なお、「リーガルフォースキャビネ」とよく比較検討される契約管理システムについては、別の記事に整理をしています。比較検討される際はこちらも参考にしてください。

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