意外と簡単! 契約書の原本回収管理の課題を解決するポイント3つ

2021年8月18日

法務担当者の方ならば、一度はこんな課題で困ったことはないでしょうか?

契約書原本の回収管理の課題

「捺印後に取引先に送った契約書の原本が、いまだに返ってきていない」
「原本の回収管理を営業担当に任せたいのに、協力してくれない」
「どの契約書が返ってきていないのか、管理ができていない」

こんにちは。Winstonです。
金融機関からベンチャー企業まで、日々、企業の契約書管理のお手伝いをしています。

実は、こういった悩みを解決するには、複雑な検討や多額の費用はいりません。
多くの企業が、色々と工夫をして乗り越えています。

今回は、その具体的な方法をご紹介します。

エクセルでもできます。契約書回収管理の業務運用方法

エクセルで契約書の管理台帳をつけている企業は多いと思います。
このエクセル管理台帳に「回収確認」の列を設けてをうまく活用すると、契約書原本の回収管理ができます。

ポイントになるのは、自社側での捺印のタイミングを捉えることです。

2通の契約書が製本され、自社側で先に捺印するとします。
このとき、営業から捺印申請が出されます。

このタイミングで、エクセルの管理台帳に登録をするのです。
捺印申請が出されたところで、エクセルの新たな行を追加して管理番号を採番します。

最終的に、相手方での捺印が完了して営業から保管申請が上がってきたら、該当のエクセル行の「回収確認」に「済み」と登録します。

毎月、一定のタイミングで「回収確認」の列が空欄になっている契約書については、まだ相手先からの原本回収が終わっていないことになります。
これらの契約書だけを抜粋して、営業担当に送ることでアラートを出すことができます。

営業担当に契約書回収管理を任せたい(3つの方法)

「営業部署に契約書の回収管理を任せたい」
「けれども、任せたら回収されずに放置されてしまいそうで任せられない」
「結局、面倒だけれど自分たちで管理するしかない」

こういった法務担当者は、非常に多いのではないでしょうか。

この状態から抜け出すために、各企業では色々と工夫したルールづくりをしています。
そのための具体的な方法には、次の3つがあります。

①双方捺印された契約書が回収された段階で受注カウントする

営業側での受注成績管理として、双方捺印された契約書原本を回収したことをもって受注完了として成績カウントするというルールにされている企業があります。

営業側の理解が得られれば、このようにしていただくのがベストです。
営業担当にとっては、自分の成績になるかどうかは非常に重大なことですので。

②契約書の原本が回収されていることを社内監査項目にしている

年に1回の社内監査の際、契約書の確実な回収が行われていることを監査項目にして管理している企業さんもあります。

管理部門主導で対応できるので取り組みやすいですが、回収すべき契約書がどれか、という情報がないと管理ができません。
そこは、捺印申請の情報をベースにすると良いと思います。

③法務側からの定期的にアラートを出す

月に1回、捺印申請がなされていて回収されていない契約書を抽出して、法務側が各担当部署にアラートを出す、という取り組みをしている企業は多くあります。

この難点は、法務担当の業務負荷が高いことです。

そこで、自動的にアラートを出す仕組みを構築されているケースもあります。

a)エクセル管理台帳にマクロを組み込んで、捺印申請日から2週間が経過して「回収確認」がブランクだった場合にメールで自動的に通知する仕組みは、実際にいくつかの企業で実施されていました。

ただ、マクロは誰もが管理できるものではないので、注意する必要があります。

そこで、b)RPAを活用してメール送信を自動化している企業もあります。

この場合、エクセル台帳に少し関数を組んでおきます。

・TODAY関数で日付を表示する欄を設ける。
・捺印申請日とTODAYの差を表示させる。
・この差が14日以上あった場合に「要確認」を表示させる。

そして、RPAで下記のようなプログラムを組んでおきます。

・エクセル管理台帳を立ち上げる。
・1行ごとに「要確認」がある場合、メールソフトを立ち上げる。
・所定のアドレスをメールソフト上に入力する。
・該当行の契約書番号・相手先・タイトルを本文に転記する。
・送信ボタンを押す。

週に1回、このプログラムを起動することで、自動的にアラートを出すことができます。

契約書回収の代行サービス(アウトソーシング)

通常の会社であれば、契約書の回収は自社で行うのが通常です。

しかし、一度に大量の契約書や覚書を回収する必要があり、業務量的に対応が困難なケースがあります
その場合には、外部の会社にアウトソースするという選択肢もあります。

実際、私のお手伝いした会社でも、事業譲渡により取引先との間で債権引継ぎの覚書を大量に締結する必要があったケースで、覚書の印刷・発送・回収の代行をさせていただいたことがあります。

この場合は、アウトソースする先の会社は慎重に選択してください。

・セキュリティに配慮された環境で作業されているか。
・普段から契約書の取り扱いに慣れている企業であるか。
・誤りが発生しないような作業手順を詳細に提案してくれるか。

見積書だけを1枚出してくるような会社は、あまり信用できません。
万一のことがあると、発注企業に与える影響が大きいのでご注意ください。

もしも、より詳しい検討をされたい場合、お問い合わせフォームからご相談をいただければ可能な範囲でご回答をさせていただきます。
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