【5分で読める要約】「怒らない禅の作法」は悩める管理職に最適!-感情に振り回されないマネジメント
曹洞宗の寺院の住職であり、美大卒という異色の経歴をもつ枡野俊明氏。
枡野氏が説く、静かな禅の心は、部下の指導・育成に悩むいまどきの管理職にとって、最適の一冊です。
「ついつい、部下の話を途中でさえぎってしまう」
「分かっているのに、感情をあらわにして怒ってしまう」
部下との関係でそんな悩みを抱えていませんか?
「怒らない禅の作法」は、そんな悩みを抱える管理職にとって、感情に振り回されないマネジメントを実現するうえで大きなヒントを与えてくれる一冊です。
目次
「怒らない禅の作法」をおすすめする3つの理由!
平易な文章だから、肩肘張らず気楽に読める
「禅」というと難しい印象がありませんか?
ちょっと、とっつきにくいですよね。
でもそんな心配はご無用です。
作者の枡野俊明氏は、曹洞宗の寺院の住職ではありますが、一般の方々に対して分かりやすい言葉で「禅の精神」を伝えることには定評がある方です。
海外のビジネスパーソンにも多くのファンがいます。
英語に翻訳すると失われがちな、日本語特有の行間。これを海外に伝えられるのも、枡野氏の言葉が分かりやすくて平易なためです。
全体的に平易な文章なので、気楽に読めるところが良いところ。
禅の世界を気楽に読める、という点はこの本の良いところです。
自分の感情を客観的に捉えられるようになる
怒りを始めとした感情は、人間が作り出すもの。
客観的な状況に直面したときに、それをどう感じるかは人それぞれ。
感情は、客観的な状況とは関係なく、自身の考え方や捉え方で生み出されるものです。
逆にいえば、どんな客観的状況に直面したとしても、それをどう感じるかはコントロール可能だということ。
にもかかわらず、人は自分の感情に振り回されてしまう。
この本の言葉を実践していけば、そういった状態から解放されるヒントがつかめるはずです。
「なにかひとつ、やめてみる」
私も、仕事でいっぱいの状態になると、思い出す言葉です。
いっぱいの状態に浸っていると、主観でしか見られない世界。
でも、「なにかひとつ、やめてみる」と思えれば、「そうか、自分はいっぱいの状態になっているんだ」という客観的な視点を持てます。
客観的に自分を捉えることができれば、対処の仕方が見えてくるというものです。
置かれている状況の中で、自分の感情を客観的に捉えられるようになる、というのは目指すべきところではないでしょうか。
自分だけが特殊な状態でないことに気づける
そして、自分を客観的にとらえられることで気づけるのが、みんなが同じことで悩んでいるのだということです。
「自分だけが、こんな思いをしているのでは?」
「こんな大変な目にあっているのは、自分だけでは?」
そんな思いにとらわれている方も多いと思います。
でも、一歩引いて客観化・抽象化してみれば、多くの人が悩んでいるワナに自分もはまっているだけ。
自分だけが特殊な状態に置かれているわけではない、ということに気づけます。
そうすれば、解決のみちが見えてきます。
他の人がどう解決してきたのかが、自分自身の行動の参考になるからです。
禅の言葉・思考のなかには、人間であるがゆえの陥りやすい思考が表れています。
「怒る」という感情も、その場の状況だけを考えれば個別特殊な反応です。
しかし、少し抽象化して考えてみると、「パターン」のなかにはまっているだけにすぎません。
自分という主体が「怒っている」のではなくて、自分が「怒らざるを得ない状況」に客観的に置かれているのだ、ととらえることができれば、感情に任せて反応することから解放されて、冷静な言葉を発することができるはずです。
「怒らない禅の技法」わたしの活用法
私には、15名ほどの部下がいます。
会社からの指示でやらなければいけないことがあるなかで、部下の意思も尊重しなければなりません。
しかし、部下の考えは十分に理解しながらも、やってもらわないといけないこともあります。
時として、考えが対立するケースもあります。
そんなとき、こちらの考えを通すためには、「怒る」感情をあらわにすると早いです。
圧倒的に早いです。
早いから、「怒る」をいつも用いている上司の方も多いと思います。
でもその結果、生じるのは面従腹背でしかありません。
だから「怒る」ことはせずに、遠回りだと思っても対話を重ねるようになりました。
「怒る」代わりに「決める」のが、重要だと思います。
部下の話を聞いたうえで、清濁併せのんで「決める」のであれば、部下は認めてくれるものです。
少なくとも、私の部下たちはそうでした。
部下のみんなは、自分たちの主張もありながらも、「上司のつらさ」も理解してくれていました。
「怒る」ではなく、「理解する」をしたうえで「決める」というプロセスを経ることは、非常に大事だと実感しています。
このことは、結局のところ、「怒る」という主観に頼るのではなく、状況を理解して「決める」という客観化が大事だということなのだと思います。
自身の置かれている状態を少し離れて、斜め上から、いわば「メタ化」して自分を観察する。
そんなことの大事さを「怒らない禅の作法」は教えてくれていると思います。
「怒らない禅の作法」の書籍情報
枡野俊明「怒らない禅の作法」
河出文庫、2016年