実践済み! 低コストでもできる、BtoB商材でウェブサイトからの問い合わせを増やす方法

2021年8月9日

この記事でわかること

「ホームページを作ったのに問い合わせが全然増えない」
「ホームページからの問い合わせを増やしたいのだけれど何をすればよいのか分からない」

「しかしながら、予算は限られている」

この記事では、BtoB商材の営業活動をマネジメントする立場で大幅にリードを増やさなければいけない状況に直面した筆者が、ウェブサイトからの問い合わせを増やすために学んで、実行してきたことを記載しています。
コンサルタントや専門の業者に頼めばいろいろと高度なことができるのでしょうが、限られた予算と人員のなかで自分たちでできることを中心に実施しています。
この記事の内容が、少しでもあなたのビジネスを良くすることに役に立てれば幸いです。

ウェブサイトからのリードを出すしかない状況に追い込まれ

筆者がBtoB商材の営業をマネジメントしていて、どう営業活動全体を設計したかについては下記の記事をご覧ください。
>>トップセールスに頼らない! BtoB営業の体制構築(KPIにもとづく営業プロセス設計)

以前の記事でも記載しましたが、筆者の組織では営業活動の再設計を行いました。
計画した成約件数を出すために必要な案件の件数、そのために必要な商談の件数、そのために必要なリード件数を算出したところ、リード件数が圧倒的に足りません。

リードをたくさんを出すためには、まずは展示会の頻度を増やすことか。
しかし、展示会出展は結構な費用がかかるもの。オンライン展示会なども試してみましたが、正直いってほとんどまともなリードが集まらない。おまけにオリンピックでリアル展示会も機会が限られている状況。
そのため、ほかの方法を考えることにしました。

ならば、ウェビナーの頻度を増やすことを考えよう。
これならば低予算で何度も開催できるはず。
そう思って、実際、筆者の組織でも15回のウェビナーを実施しました。しかし、毎回集まるのは決まった参加者ばかり。新しいリードを獲得することが次第に難しくなるのです。
このことから学んだのは、ウェビナーにウェビナーは基本的には過去に獲得したリードを育てること(ナーチャリング)が主要な効果であるということ。ウェビナーで新規リード獲得するには、やはり告知活動に予算と労力を使うことが必要になってくるのです。
これを回避しようと、他社との共催ウェビナーを何度か実施しました。「これは良い!」 自社の商品・サービスと関連性が高い企業と共催すれば、獲得したリードを相互に交換しあうことができて非常に効率的です。今後も、互いに展示会に出展した後に共催ウェビナーを実施することを決意しました。

しかし、そうやって集めた展示会・ウェビナーのリードもすぐには案件化しません。
社内では「フォローの仕方が悪いのでは?」などの声もありましたが、どうやらそういうものではなさそう。とくにウェビナーは知識を得ることが目的で参加する方が圧倒的に多いのです。そんな知識を教えてくれる存在の「先生」が急にセールスマンになってフォローをしてくると、サーっと波が引くように音信不通になるのです。

そのため筆者の組織では、ウェブサイトからの問い合わせを増やさないといけない状況に追い込まれてしまいました。
そんな消去法的な状況のなかで、神頼み的にウェブサイトからの問い合わせを増やす取り組みを開始しました。

問題は圧倒的にアクセス数が少ないこと

WEBサイトのアクセス分析は大事

「さて、何から手をつければよいのだろう?」

そこで、神にすがる思いで「Google Analyticsのデータを分析するしかない」と考えました。
いままでこのデータがあることは知っていたものの「増えた」「減った」という一喜一憂のみで、分析までは手が回っていませんでした。そこで、改めて数値の分析をしてみました。

コンバージョン件数 = セッション数 × コンバージョン率

問い合わせ完了画面をコンバージョンに設定していたので直近におけるコンバージョン率(コンバージョン件数÷セッション数)を調べてみると、3.6%という数字でした。
「これって良いの?悪いの?」ということで知り合いに問い合わせてみると、「ECサイトの平均コンバージョン率は3.0%くらいだよ」とのこと。BtoB商材の問い合わせ発生と同視してよいのかは分かりませんでしたが、いったんはコンバージョン率には問題がない、と判断をしました。

そうなると問題は、セッション数、つまりウェブサイトにアクセスしてくれている人の数が圧倒的に少ないことだということになります。

流入経路ごとに考えてみる

ウェブサイトへの流入の経路は、大きく分けて以下の3つです。

①Googleなどの検索エンジンでの自然検索からの流入(オーガニック検索)
②広告からの流入(キーワード広告・バナー広告)
③他のサイトからのリンク経由での流入(まとめサイト・SNSなど)

自然検索からの流入はどうか?

まず①自然検索からの流入について調べてみました。

すると、面白いことがわかりました。
それはウチの会社の名前を入れて検索してくる場合(指名ワード検索)の方が多く、逆にそうで場合(一般ワード検索:例えば「接待で使える店 東京」)が少ないのです。
ここから推測できたのは、一般ワードで検索したときに検索順位が低くなっていることです。

そこで検索順位チェッカーで調べてみたところ、一部のワードがyahooでかろうじて16位になっていたものの、それ以外は圏外となっている有り様でした。
そこで、どう手を打てばよいかは分からないものの、取り敢えずSEO対策が課題だと認識をしました。

広告からの流入はどうか?

次に、②広告からの流入について調べてみました。

ここでも、興味深い発見がありました。
従来、毎月一定額をリスティング広告に投入してきたのですが、直近で単価が上昇していて同じ金額で得られるアクセス数が3割以上も下がってきているのです。この原因は、筆者の組織が扱っている商材について競争が激しくなってきているためと推測されます。
予算は限られているため、より競争の少ないキーワードの開拓が課題であると認識をしました。

そして、さらに気づいた深刻な問題がありました。
それは、リスティング広告によって得られたアクセスがほとんどコンバージョンに結び付いていないのです。これは言葉を換えると、毎月無駄な広告費を使って無意味なアクセスを買っていたということです。正直、これを知った時には背筋が寒くなりました。
そんなことで、ここでもより自社がターゲットとする人に直結するキーワードの開拓が課題であると認識をしました。

リンク先からの流入はどうか?

筆者の組織では、外部のサービスまとめサイトにサービスを掲載して、そこから問い合わせがあった場合に費用を払うサービスを複数契約しています。
そのリンク先からの流入については、件数は多くはないものの案件化にも結び付いていて大きな問題がありませんでした。

SEO対策?徹底してカネをかけない対策を考える

色々な検討を踏まえて、一番大きな課題はSEO対策にあることがわかりました。

「では、どうやってSEO対策をすればいいの?」
ということになったのですが、ここで少し冷静に考えてみました。「SEO対策」というと「検索順位をあげること」だと思っていたのですが、本当にそうでしょうか?

モノの本を読むと、SEO対策のためにはページのワイヤーフレームを整えることだとか、タグを充実させることだとか、ページの読み込み速度を上げることだとかが記載されています。
たしかに、色々な対策を尽くした企業どうしの争いは、そういったところで決着してくるのでしょう。

しかし、自分たちがやりたいことは「検索順位をあげること」ではなく、「自分たちのサービスを魅力に感じてくれる人たちがウェブサイトを探し当てられるようにして、しかもそこに掲載されている情報に満足して問い合わせというアクションを起こしてくれるようにすること」だと思うのです。

つまり、次の2点こそが本当の課題だと理解するに至ったのです。
a) 自社のウェブサイトが、伝えたい相手に向けて伝えたい情報を発信しているのか。
b) 情報を伝えたい相手が発見しやすいようにしてあげているのか。

伝えたい相手に伝えたい情報を発信する

そこで私たちは、自社のウェブサイトに掲載されている内容を再点検しました。

サービスの説明は一通りできています。
しかし、少し違う視点を入れてみたとき、様々なことに気が付くことができました。
それは「営業マンが商談相手に伝えていることが、ウェブサイト上で表現されているか」ということです。

「最近、業務処理がデジタル化されてきているのに、一部でアナログ処理が残ってしまっている。だからこそ、それを統合するような仕組みが必要になってくる。」
「業務のデジタル化ができても人間が判断する工程が残ってしまう。それが業務の自動化の妨げになってしまっている。」
「このサービスはすべての会社にとって満足するものではなく、〇〇という条件がある会社にとくに喜ばれるものである。」

こんなセールストークを営業マンが日々実施しているにもかかわらず、ウェブサイトにはそういうことが書かれていないのです。

とにかくこれを徹底して入れ込むようにしました。

伝えたい相手が発見しやすいようにしてあげる

たしかに検索順位があがれば、発見してもらいやすくなるでしょう。
しかし、リスティング広告がコンバージョンを生んでいなかったことからも分かるように、その先に繋がらない形で検索順位だけが形式的にあがっても意味がありません。

そこで、「伝えたい相手はどこの誰でどういうポジションにいる人か?」「どんな状況の人に伝えたいのか?」「WEB上でどういう出会い方をしたいのか」を考えてみました。

そして得られた結論は、以下のようなものです。
「伝えたい相手は、〇〇を導入しようとしている会社のマネージャー」
「そのマネージャーは、〇〇の導入によって△△という不都合が出ることに気づいていない」
「そのマネージャーに、そういう不都合が生じることを教えてあげたい」

そうすると、そのためには単純にサービスの紹介をするのではなく、事例やストーリーの形式で伝えることだと考えました。
そして、そのための方法はウェブサイト内でブログ記事を充実させることだという結論に至りました。

営業マンが伝えていることをブログの形式でウェブサイト上で伝えていくことであれば、必ずしも外部に委託しなくとも自分たちで何とか対応していけそうです。

対策を実施した効果

上記の対策を実施した結果、どうなったかというと・・。
実は、しばらくの間は大きな変化がありませんでした。
しかし、その後、徐々に問い合わせが増え始めて現在に至っています。
効果状況については、改めて情報をアップしていくようにします。しばらくお待ちください。

まとめ

ここまで記載してきたことは、筆者の組織が以下のような状態にあったことが前提です。
・BtoB商材(サービス)を扱っている。
・営業プロセスとしては、ウェブサイトで販売完結することが難しい。
・自社のウェブサイトを保有している。(Google Analytics によるデータ取得を実施していた)
・十分な予算がなく、カネをかけずにウェブサイトからの問い合わせを増やさなければならなかった。

条件が異なってくれば、もちろん判断も異なってくると思います。
しかし、みなさんに伝えたかったのは「WEBマーケティングをやりましょう」「SEO対策に予算を」「広告出稿を増やせばアクセスは伸びます」といった短絡的な声にすぐに反応せずに、落ち着いて冷静に状況を分析して必要な手を打つべきだということです
このことは、組織の条件が異なっていても共通して流用できる知恵だと思っています。