経理DXが進まない理由とは?成功のためのボトルネックを解消する方法
目次
経理DXの道は険しい?
経理部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組み、進んでいますか?
経理のDX化が進まない理由の一つは、そもそも「何をしたらよいのか分からない」という点です。
デジタル化技術が進歩するなか、経営層からも「中期計画」「社長方針」といった形であらゆる部門に「DX化に取り組むこと」の指示が出されています。
しかし、経理部門も効率化や業務の最適化を目指してDX化に着手し始めたものの、現実的には「請求書の受領デジタル化」や「会計システムの導入」に取り組んでも、期待ほどの効果が得られないという声が多くの企業から聞こえてきます。
経理DXを進めるために必要なステップや具体的な方法が分からず、足踏み状態になっているケースも少なくありません。
では、なぜ経理DXが進まないのでしょうか?そのボトルネックを一つ一つ解説し、解消する方法を探っていきましょう。

1. 経理業務の「デジタル化」=「DX」ではない
多くの企業が、経理DXの第一歩として「請求書の受領をデジタル化する」「紙の帳票を電子化する」といった施策に取り組んでいます。
これ自体は重要なステップですが、デジタル化だけでは本当の意味での「DX」とは言えません。
なぜなら、単にアナログな業務をデジタルに変えるだけでは、業務プロセスの効率化や精度向上といった効果を十分に得ることは難しいからです。
経理DXを実現するためには、「単なるデジタル化」にとどまらず、「業務のフローや仕組みの見直し」をしなければなりません。
業務の中で手間や時間がかかっている部分に注目し、それをデジタルツールを活用して効率化することが本来のDXの目的です。

2. 請求書のデジタル化後、仕訳作業は手作業のまま
請求書の受領をデジタル化したものの、その後の仕訳作業が手作業のままである企業は少なくありません。
請求書の受け取り自体がデジタル化されても、そのデータを元にした仕訳作業や会計処理が依然として手作業で行われている場合、効率化の効果は限定的です。
その原因の一つは、**「自社固有のルール」**にあります。
各企業には独自の経理ルールや仕訳の基準があり、その見える化が不十分な場合、システム化が進みにくいのです。
たとえば、業種ごとの慣習や過去の取引に基づいた特別な処理が必要な場合、標準化されたシステムではカバーしきれません。このような固有ルールが障壁となり、システムを導入しても効果が得られない原因になっています。

3. 自社固有のルールを見える化し、DXを加速させる
仕訳作業が手作業に依存している背景には、前述の「自社固有のルール」が存在します。
このルールを見える化することが、経理DXを進める第一歩です。まずは、どのようなルールが自社に存在し、そのルールがなぜ重要であるかを明確にし、その後のプロセスでどこを自動化できるかを見極めましょう。
自社の固有ルールをデジタル化のプロセスに組み込むためには、ルールの整理・標準化が必要です。
その際、既存のシステムやツールを最大限に活用し、ルールに合わせたカスタマイズを行うことがポイントです。この「見える化」作業を通じて、経理部門の業務フローを最適化し、手作業からの脱却が進むことになります。
4. 自動化ツールに依存しすぎている
最近では、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入して、仕訳作業や経費精算を自動化する企業も増えています。
しかし、これが必ずしも効果的に機能するわけではありません。
多くの企業が「自動化ツールを導入すればすべてが解決する」と考えがちですが、実際にはツールを導入しても「自動化の精度が低い」「使いこなせていない」といった課題に直面することが多いです。
その原因の一つは、ツールを導入する前に十分な「業務の見直し」や「ルールの整備」がなされていないことです。
自動化ツールは、あくまで「決められたルール」に基づいて動作しますが、経理業務には例外や特殊な処理が多いため、ツールだけではすべてをカバーしきれないことがあるのです。

5. 部門間の連携不足
経理部門だけがDXを進めても、他の部門との連携が取れていなければ効果は限定的です。
例えば、営業部門が受け取った請求書を経理に渡すタイミングが遅れる、あるいは営業部門で使っているシステムが経理部門のシステムと連携していないといった問題が生じます。このような部門間の連携不足は、DXの推進を妨げる大きなボトルネックとなるでしょう。
経理DXを成功させるためには、部門間で情報をシームレスに共有できる仕組みを作ることが重要です。
クラウド型のツールやAPI連携を活用し、システム間で自動的にデータをやり取りできるようにすれば、業務フロー全体を効率化できます。
6. 経理DXを加速するための実践的アプローチ
経理DXを進めるためには、次のような実践的アプローチを取ることが重要です。
① 業務フローの見直しと無駄の削減
まずは、業務フローを見直し、手間や時間のかかっている部分を特定します。例えば、請求書受領や仕訳作業の中で、どこに無駄があるのか、どの部分を自動化するべきかを整理し、最適化することがDX推進の第一歩です。
② 自社のルールの見える化
自社固有の経理ルールを整理し、標準化します。その後、それらをシステムに反映させ、ツールのカスタマイズを行うことで、業務効率化を図りましょう。
③ 例外処理を考慮したツールの導入
ツールを導入する際には、自動化ツールの機能だけでなく、例外処理や柔軟性がどの程度あるかを確認することが大切です。経理業務は複雑で、多くの例外が発生するため、そのようなケースにも対応できるツールを選ぶ必要があります。
④ 部門間での連携強化
経理部門だけでなく、他の部門とも連携を深めることが重要です。情報共有やデータ連携を円滑に進めるために、ツールやシステム間での連携ができる仕組みを整えましょう。
⑤ 従業員の教育とサポート体制の強化
DXの導入後は、社員が新しいシステムを使いこなせるようにするための教育やサポートが不可欠です。導入前後に十分な研修を行い、社員が安心して使える環境を整えることがDX成功のカギです。
まとめ:経理DXを成功させるためには、「無理なく」「少しずつ」の進展が大切
経理DXの実現には、多くのボトルネックが存在します。しかし、それらの課題を一つずつ解決し、少しずつ進展させることが大切です。業務の見直し、ルールの見える化、ツールの選定、部門間の連携強化、そして社員教育を通じて、着実にDX化を進めていきましょう。
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