【5分で読める要約】マインドセット「やればできる!」の研究 人と組織を成長させる「しなやかなマインドセット」のつくり方
「やればできる!」
言い古された言葉ではありますよね。
でも、このマインドにこそ物事を良い方向に導くための秘密があります。
著者のキャロル・S・ドゥエックは、このマインドを「しなやかなマインドセット」と呼び、その反対となる「硬直的なマインドセット」との違いを解説してくれています。
そして、そのマインドを身につけるための方法も。
なんとなく分かっていることを明確に言語化して、それを身につけるための方法を知ることができる本です。
目次
ドゥエックが伝えていること
「しなやかなマインドセット」と「硬直的なマインドセット」
ドゥエックは、異なる2つのマインドセットを次のように定義づけています。
「しなやかなマインドセット」
完璧でなくても良くて、向上することを基準にする。
結果が出ないことではなく、成長できないことを失敗と捉える。
他人との比較ではなく、過去の自分との比較で成長することに焦点を当てる。
自分を向上させることに関心を向ける心で、能力は成長させられると考える。
努力こそが人を賢く、有能にしてくれるとの信念。
知らないこと、できないことに取り組むのを楽しいと感じる。
試練をしっかり受け止めて、失敗から学ぶ努力を続ける。
自分のやっていることを愛している。困難にぶつかっても嫌になったりしない。
結果がどうなろうと、集中して力を注いでいることそれ自体に意義を見出せる。
「硬直的なマインドセット」
結果がすべて。結果がでないと努力は無駄と考える。
なにごとも、完璧にできなければならないと考える。
他人からどう評価されるかを気にする。
自分が賢い、優れていることを証明することに焦点が置かれる。
能力は生まれながら固定的であると考える傾向があり、努力を回避する。
努力は才能に恵まれない人がやるものだ、と考えている。
頑張らなければできないのは、能力のない証拠だと思っている。
結果が出ずにつまずいたら、もう失敗であると捉える。
知らないこと、できないことは諦めてしまいがち。
本気で挑戦することはせずに、本気を出さなかったことを言い訳にして自我を守る。
全てを出し切って失敗するのが怖いので、全力を出さない。「やればできた」が言い訳。
「しなやかなマインドセット」を身につけるには?
2つのマインドセットを比較すると、もちろん「しなやかなマインドセット」の方が望ましいですよね。
では、どうしたら「しなやかなマインドセット」を身につけることができるのでしょうか?
<子どものマインドセットを育む場合>
何かに取り組んだ子どもたちに対して、その能力を褒めますか? それともその努力を褒めますか?
何百人もの子どもたちを対象に、7回にわたる実験を行った結果、頭の良さをほめると、学習意欲が損なわれ、ひいては成績も低下することが分かったのだそうです。
「成功するのは賢いからだ」
こういう硬直マインドセットに縛られてしまうからです。
成績の良し悪しで自分の価値が決まってしまうかのように思い込み、すぐに完璧にできること以外には手を出さず、どうせくだらないことだとバカにしてかかるようになってしまうのだそうです。
チャンピオンやアイドルは、生まれながらにして自分とは違うスーパーヒーローなのだと思いたがる傾向が強まるのだそうです。
褒めるのであれば、子どもの 努力や選択 を評価する気持ちを伝える方が効果的です。
褒めるときは、子ども自身の特性ではなく、努力して成し遂げたことを褒めると、努力するプロセスを楽しい経験として捉えます。
「取りくんでみて、楽しかった」
だから、また次もさらに新しい問題にチャレンジして、その努力や選択をする場面に挑んでいく気持ちが育まれるということでしょう。
こちらの子たちは、自分が新しいことができるようになることに楽しさを感じていきます。
その結果、さらに新しいことに挑んでいくことによって、さらなる成長を遂げていくのです。
いつか自分もチャンピオンやアイドルになろうと。
<ビジネスの現場で-「しなやかなマインドセット」の組織をつくる>
「しなやかなマインドセット」の組織にしていくいためには、心理的に安全な環境づくりと、人に焦点を当てたマネジメントをしていくことが必要です。
そのためには、「しなやかなマインドセット」のリーダーを据えなければなりません。
硬直マインドセットのリーダーは、自分だけが突出した存在でいたいと考えています。
自分の方が上だと思えないと気が済まない。だから、人材育成には関心がありません。
自分は生まれつき人より優れていると思いたいので、自分より劣る人びとの欲求や感情を無視してかかるようになります。
その結果、無関心で努力しない部下が生まれていきます。
また、硬直的なマインドで、部下の結果をきびしく管理すること場合も同様です。
ひたすら評価を恐れるようになります。
失敗が許されないから、新しいことには挑戦しないようになります。
言われこと以外のことをやって失敗するのは、かえって損だからです。
その結果、勇気や改革の気風はなかなか育たず、硬直マインドセットがはびこっていきます。
新しいことを学んで、成長し、会社を押し上げていこうという気持ちは育ちません。
「しなやかなマインドセット」の組織をつくるために必要なことは、「しなやかなマインドセット」のリーダーが、人間の、自分の、そして他者の、潜在能力と成長の可能性を信じることが第一歩となります。
「人は変われる」 この信念がすごく重要です。
ビジネスにおける活かし方
「しなやかなマインドセット」をビジネスでも活かしていくためには、どうしたよいでしょうか?
わたし自信は、小さいながらも一つの部署を率いる立場なので、その目線で少し考えてみます。
組織内でのリーダー自身の振るまいが、他のメンバーのマインドセットを形成するのだと考えるところからスタートしてみるのが良いのではないでしょうか。
つまり、リーダーである自分自身の努力によって、他のメンバーのマインドセットを変えられる、と信じてみるのです。
簡単には部下のマインドセットを変えるのは難しいかもしれません。
でも、信じてその努力を継続していくことです。
諦めずに続けていこうと思います。
書籍情報「マインドセット『やればできる!』の研究」
キャロル・S・ドゥエック「マインドセット『やればできる!』の研究」草思社、2016年