【経理マネージャー必見】自社特有の会計仕訳、なぜ自動化がうまくいかないのか?
目次
「AIで経理の仕事を自動化できる時代」――でも、それは本当か?
請求書や伝票をAIやRPAで自動処理する流れが加速しています。
ところが実際に導入してみると、「全然自動化されない」「かえって手間が増えた」という声も多く聞かれます。
なぜこのギャップが生まれるのでしょうか?
答えはシンプルです。会計仕訳には“自社特有のルール”が存在し、それが標準化しにくいからです。
属人化と個社ルールが、自動化を阻む
企業ごとに、会計処理のルールは違います。
たとえば:
- 特定の取引先の請求書は「外注費」ではなく「業務委託費」で処理する
- 部門やプロジェクトごとに異なる配賦ルールがある
- 摘要に特定の語句が含まれていれば、別の勘定科目になる
このような微妙なルールの差異が、属人化を生みます。
ベテラン社員だけが理解している「暗黙のルール」が多いほど、AIは正しく学習できず、結果として「自動化の壁」にぶつかるのです。
その結果、「AIなんて、使えない!」と思われている方も多いのではないかと思います。
なぜ“完璧な自動化”を目指してはいけないのか?
経理部門では、限られた人材で常に正確な処理を求められる一方で、本業部門への人材シフトが優先されがちです。
そのため、経理の仕事が属人化している状態では、異動もローテーションもできません。
そうした現場の事情を無視して、経営管理部門やDX部門が主導して、「全部AIがやってくれるだろう」という発想だけで ”技術優位” ”頭でっかち”で社内改革を進めていくと、どんなことになるでしょうか?
経理部門にとっては、微妙に自動化されないところが残ることで、かえって負荷が増す結果になります。
一方で、経営者やDX部門にとっては、「経理は抵抗勢力だ」「いつもできない理由ばかり言う」と受け取ってしまいがちです。
もう、お分かりですよね。
「AIを使うことが目的になると、うまくいかない」ということです。
いちばん重要なのは、「自社の会計処理ルールを誰でも理解できるかたちに“形式知化”すること」です。
そのうえで、手段としてAIを使うことです。

自動化の第一歩は「自社ルールの棚卸し」から
会計仕訳の自動化を成功させるには、次のような取り組みが有効です。
独立したコンサルティングを受けるという選択もありますが、ベンダーの付帯サービスとして受けていくこともできます。自社の検討状況に応じて、選択していくとよいでしょう。
- 処理ルールの文書化
どのような判断で仕訳しているか、過去の事例をもとに整理します。 - ルールベースの仕組みを設計
「摘要に〇〇が含まれていたら△△勘定科目」など、明確なマトリクスを設ける。 - 例外パターンの識別とAI学習
処理の難しいパターンを洗い出し、AIが学習しやすい形で整理。 - 継続的な精度チェックと改善
一度導入したら終わりではなく、誤判定を都度フィードバックする体制が必要です。
柔軟に“自社ルール”に対応できるツールを使う
最近では、「自社特有の会計ルールに対応できる自動化ツール」が登場し始めています。
「やっと出たか」という感じですが、本当に経理の会計仕訳業務を劇的に効率化していくためには、検討に値すると思います。
- 自社の管理会計コードやルールを柔軟に反映
- AIとルールベースを組み合わせた高精度仕訳
- 自動化の精度向上に向けたフィードバック学習機能
こうしたツールを導入することで、「うちの会社では無理かも」とあきらめていた企業でも、自社仕様に沿った実用的な仕訳自動化が可能になります。

まとめ:自社仕様だからこそ、仕訳自動化には“設計”が必要
AIや自動化が進化しても、「現場で実際に動く仕組み」にするためには、“自社特有”のルールをいかに整理し、共有し、仕組みに落とし込むかがカギです。
「精度が出ないから無理」ではなく、「精度を出すための工夫」が求められているのです。
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